今回はマシニングセンタについていると非常に便利なタッチプローブについて解説していきます。タッチプローブの構造、使い方、並びにその活用方法について解説します。
タッチプローブとは??
タッチプローブとはマシニングセンタに搭載されている測定機器のひとつで、主軸に取りつけ、材料の寸法を測定します。タッチプローブについているレバーが規定以上の傾きになると、特殊な信号を発し、機械を停止させます。その停止させたときの機械座標からワーク座標を設定したり、材料の幅を測定できたりします。
タッチプローブの構造
タッチプローブはタッチプローブ本体とスタイラスの2つから構成されています。タッチプローブ本体は内部に特殊なばねと鉄球によるスイッチがついています。一定以上スタイラスが傾くと、このスイッチが作動し、機械を停止させるスキップ信号という信号を発信するといった手順で動作します。
スタイラスは棒状の部品の先端にスタイラス球と呼ばれる超精密な球が取りつけてあります。この球が材料との接点となります。一般的にほ硬度の高いルビーが使用されます。
タッチプローブの使用方法
残念ながらタッチプローブは購入後すぐ使用することはできません…
必ず、下記に示すような調整作業が必要となります。めんどくさいですが、腐らずにやりましょう!
①振れ調整
まず先端のスタイラス球の振れが出ているか確認します。これは高精度に測定を行うためのものです。メーカーが推奨する振れの許容値は10~20μmですが、頑張って調整すれば2μm以下にすることが可能!。求める精度と相談しながら調整してください。
②キャリブレーション
振れ調整が終わったら、次はキャリブレーションです。キャリブレーションはスタイラスがどれだけ倒れたらスキップ信号を発するかマシニングセンタに教えるための作業です。大まかな手順としては
①リングゲージをテーブル上に付ける
②主軸にダイヤルゲージを当て、リングゲージの中心を測定する。
③マシニングメーカーが提供しているキャリブレーションプログラムを流す
となります。一見難しそうに見える作業ですが、慣れれば30分以内に行うことができます。
③実測定
キャリブレーションが終了したら、なにか寸法のわかるものを測定して確認しましょう。先ほど使用したリングゲージでも構いません。測定を行って±2μmほどの精度が出ていれば十分です。ここまでやって、やっとタッチプローブが使用できるようになります。
タッチプローブの活用方法
最後に、タッチプローブの具体的な使用方法を紹介したいと思います。
①段取り時に使用
加工前に材料の芯をとったり、原点を設定するときに使用します。個人的に段取り時がタッチプローブのありがたみを最も感じる瞬間だと思っています。
マシニングメーカーによりますが、たいていの場合、画面上の操作だけで材料を測定する機能がついています。プログラミングを行わなくてもいいので、新入社員の方でも簡単に使用できます。
②簡易測定に使用
加工中に寸法が出ているか確認する場合も、タッチプローブを使用すれば簡単に行うことができます。タッチプローブはキャリブレーションをしっかり行えば、かなりの精度で測定が可能ですので加工不良を未然に防ぐことが可能です。しかし、機上測定はマシニングセンタの熱変異の影響を避けられません。熱変異の影響を避けやすい段差寸法を中心に使用するとよいでしょう。
まとめ
今回のポイントは以下の3つとなります。
- タッチプローブはマシニングセンタに付属するオプションの一つで、機上でワークの寸法を測るためのものである
- 段取り時、加工後の寸法確認時などに非常に便利ではある
- 使用前や定期的にキャリブレーションという作業が必要になる
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