今回はマシニングセンタの主軸におけるリサージュ波形について解説していきます。マシニングセンタを使用していて、「縦と横の寸法が合わないな?」や「加工後の真円度がつぶれた形状になる」といった問題が発生した場合、リサージュ波形が問題である可能性があります。今回はそのリサージュ波形について解説します。
リサージュ波形とは・・・?
リサージュ波形とはマシニングセンタなどの主軸が回転する際に、どのように先端が触れているかを示す波形のことです。下図のような波形で出力され、円の大きさ、形状によって良し悪しを評価します。一般的に、主軸のリサージュ波形は完全な真円にはならず、数μm~数十μmほどつぶれた楕円形になります。また、回転数が大きくなるにつれてリサージュ波形の大きさも大きくなり、形状も崩れていく傾向があります。
なお、リサージュ波形は主軸に特殊なホルダーを取り付け、それをテーブル上に置いたセンサーの上で回転させることで、測定を行います。主軸の回転数によってもリサージュ波形が変化してくるので、ある程度回転数を変えながら測定を行います。
リサージュ波形の活用方法とは?
リサージュ波形は基本的に工作機械の組み立て、調整時に使用するもので、ユーザー側が測定・調整するものではありません。しかし、このリサージュ波形という概念は、精度の良い加工を行うためには必ず理解しておくべきだと、エンドーは考えます。
例えば、主軸のリサージュ波形が下図のように横長だった場合、四角形を加工したときに縦と横の寸法に微妙な差が発生し、寸法不良の発生原因となる場合があります。また、内円、外円を加工した際にも、加工した円が楕円形になり、真円度、位置度などの寸法悪化の原因になることがあります。
リサージュ波形が悪い場合は、①サービスに連絡し、調整してもらう②加工パス自体をいじり、調整する、の2つの対策が有効です。なお、リサージュ波形が真円で、円の大きさだけが大きい場合は工具径補正の調整のみで修正できる可能性があります。
このように、精度が出ないトラブルの裏には主軸のリサージュが関係している場合もあるため、実際のトラブル発生時には注意が必要です。
まとめ
- リサージュ波形とは回転する主軸先端の軌跡のことである
- リサージュ波形が悪化すると、精度不良の原因となる
- サービスを呼び、調整してもらったり、加工パスを変更することで対処可能である
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