[段取り]精密バイスとは?マシンバイスとの違いを解説!

マシニングセンタ

今回は精密切削の生産現場で使用されることが多い精密バイスについて解説していきます。通常のバイスとはどのように違うのか?どんな構造なのかを説明していきます。

精密バイスとは?

 精密バイスとはマシンバイス、油圧バイスなどと比較してより高精度に材料をクランプできるバイスのことです。一般的に手のひらほどのサイズで、締め付け力も大きくありません。小型のマシニングセンタ、微細加工機によく使用されます。

精密バイスの例(amazonより引用)

通常のバイスの場合

 通常のバイスの場合、締め付けねじを回すと横方向にしか締め付ける力が発生しません。このまま締め付けを行うと、材料を締め付けることは可能ですが、摺動部の微妙なスキマ、ガタにより材料が傾いたまま取り付けられてしまいます。このままの状態で加工しても特段問題ありませんが、製品の上面と底面の平行度が特に厳しい場合、公差通りに加工することができなくなる可能性があります。

精密バイスの場合

 精密バイスは通常のバイスとは異なる構造をしています。下図のように締め付けねじによる締め付け力が下方向にも向かうようになっており、材料の浮き上がりを防止します。材料の各面の平面度、直角度がきちんと出ていれば、かなりの高精度でクランプが可能です。この構造を「浮き上がり防止機能」と呼びます。
 ただし、下方向に力が分散する分、ワークをクランプする力は落ちてしまいます。あくまで低切込みの仕上げ加工のみを行うようにしたほうが無難です。

精密バイスの用途

 精密バイスは主に、粉末冶金用の金型や、銅電極などの小型の金型に使用されることが多いです。高精度に何度もクランプできるので通りだしの工数が減り、効率よく段取りできるからです。
 しかし、気を付けなければいけない点も存在します。精密バイスは高精度に材料のクランプが可能ですが、それは材料の平面度、平行度が出ていることが前提です。性能をフルに発揮するためにも、6面研磨された材料の使用が推奨されます。6面研磨にかかるコスト、時間と相談しながらの使用をおすすめします。

まとめ

  • 精密バイスは材料の浮き上がりを防止し、高精度にクランプができるバイスである
  • しかし、その分締め付け力が小さくなるので仕上げ加工に適している
  • クランプする材料にも高精度が求めらる

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